車を綺麗にする方法として、近年は「コーティング」が主流になってきていますが、そのコーティングが主流になる前は車を綺麗に磨き上げるために「カーワックス」が使われていました。

2000年頃にコーティング剤が台頭し始めて、2010年頃にはガラスコーティングが頭角を表し始めました。つまり、2000年辺りからワックスからコーティングに行こうし始めて、徐々にコーティングがシェアを獲得するようになりました。

車を綺麗にする方法は時代とともに進化をしており、現在も各社が日々コーティング剤の開発に励んでいます。

この、車を綺麗に保ち美しく仕上げることを、欧米では「カーディティーリング(Car Detailing)」と呼ばれています。日本ではカーディティーリングという言葉はまだ浸透していませんが、今後、一般ユーザーも耳にするようになるでしょう。

このように、時代は進んでコーティングが主流になってきているとはいえ、車を綺麗にするといえば「ワックス」が先に思い浮かぶ方も多いのではないでしょうか。そして、ワックスとコーティングはどのような違いがあるのか、わからないという方もいるかもしれません。

そこで今回はワックスとコーティング、それぞれの効果や性能などの違いをより明確に分かりやすく解説し、最終的にどちらがオススメなのかをお伝えします。

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ワックスとコーティングの違いを簡単に解説

ワックス

コーティング

持続期間

短い

長い

価格

安い

高い

手入れ

手間が掛かる

簡単

ツヤ

自然な光沢

人工的な光沢

衝撃

弱い

強い

ワックスとコーティングの特徴を大まかにまとめました。

一概に効果や性能の違いを語ることはできませんが、ワックスを踏まえて、より進化したものを求めてコーティングが開発されたため、性能的にはコーティングの方が優れています。

ただ、コーティングもポリマーコーティングからガラスコーティングまで様々ですので、コーティングを選ぶ際には、その成分や性能を確認した上で選ぶことをおすすめします。

コーティングの種類

コーティングには様々な種類があり、それぞれ主成分が異なります。

①油脂系コーティング

油脂系はその名前の通り、油が水を弾く性質を利用したコーティングです。施行が簡単なうえに安価であることが特徴ですが、その反面ワックスと同じく雨などの影響を受けて劣化するスピードが早く、劣化した部分はマメな洗車で取り除く必要があります。

そのあとで再びコーティングを塗り直す必要があるので総合的には他のコーティングよりも手間がかかるでしょう。そのため”車をいじるのが楽しい、趣味だ”というような方に適したコーティングとなっています。

「ワックスコーティング」と呼ばれるものがこれに分類されます。シリコンやカルナパウロと呼ばれるものが主成分のコーティングで、特徴としては先ほども書いたとおり、比較的安価に手に入れることができ、初心者でも扱いやす区鳴っています。また撥水効果があり、ツヤが出るため紫外線に弱いなどが取り上げられるでしょう。そのため屋内に駐車している人向けでもあります。

②樹脂系コーティング(ポリマーコーティング)

樹脂系とは高分子化合物を車に塗布し、イオン結合や分子結合によって密着させるものを指します。ポリマー系やフッ素系がこれに分類され、ガラス系の一部も含まれています。

樹脂系は油脂系に比べて雨にある程度の耐久力を持っていますが、洗剤などで少しずつ落ちていくので、油脂系と同じく定期的な洗車を心がけることで劣化部分を取り除く必要があります。しかし、やはり油脂系に比べると塗り直しまでの期間は長いです。

ポリマーコーティングは大体3ヶ月から6ヶ月程度は効果が持続します。これよりも持続期間が長いのがペイントシーラントと呼ばれるものです。屋外なら6ヶ月から1年、屋内なら1年から2年は保つと言われており、汚れが付着しにくく、洗う際に汚れが落ちやすいのが特徴です。ですがペイントシーラントの場合は基本的に洗車は手洗いで行う必要があるので日頃のメンテナンスは少し大変かもしれません。

樹脂系コーティングには、フッ素、レジン、シリコンなどの有機成分が含まれていますが、これらの有機成分は紫外線や排気ガスに含まれる成分の影響により劣化してしまい、それが剥がれの原因になります。

樹脂系コーティングの耐久性が3〜6ヵ月というのは、裏を返せば、コーティング被膜が3〜6ヵ月で外部要因により劣化して剥がれが始まる。という解釈で差し支えありません。

③ガラス系コーティング

ガラス系コーティングには、

  • 樹脂系にガラス成分が含まれているもの
  • ガラスに他の成分が含まれているもの

この2パターンがあります。

前者はガラス系とは謳っているものの名ばかりのものが多く、ガラス成分の含有率も低いです。一方で後者の方がいわゆるガラス系コーティングと呼ばれるもので、良質なものが多い印象です。

同じガラス系コーティングでもこのような違いがあるため、商品を選ぶ際はどちら側かきちんと調べる必要があります。

ちなみにガラス系コーティングの主だった特徴として、ポリマー系よりも更に長持ちしますが、その反面費用は他のコーティングに比べて高く設定されています。また油脂分が少ないためか、仕上がりは自然なツヤ感が出ます。ただし、ワックス特有のテカテカとしたツヤ感が出るほどの仕上がりにはなりません。

「ガラスに他の成分が含まれているもの」としては、フッ素系コーティングがありますが、ほとんどの場合個人用ではなくプロ用として販売されているため、専門店でコーティングを施してもらうのが一般的と言えるでしょう。費用の高額化はこのような理由が挙げられます。

ガラス系に含有する有機成分が原因で劣化、剥がれが始まる

ガラス系コーティングは耐久性が良くなったことにより「○年保証」と宣伝している業者もありますが、何を持ってその期間保証しているのか、しっかりと確認するようにしましょう。

先ほど、フッ素、レジン、シリコンなどの有機成分が剥がれの原因になると解説しましたが、ガラス系コーティングにも有機成分は含まれます。“フッ素”系コーティングはその名前からわかるようにフッ素が使われているので、劣化、剥がれが発生します。

ガラス系コーティングには多少なりともガラス被膜が含まれるので、ポリマーコーティングよりも耐久性は強くなりますが、含有するその他の有機成分が劣化や剥がれの原因になることは間違いありません。

④ガラスコーティング

ガラスコーティングは、コーティングの中では現在最高品質のコーティングです。

ガラス特有の高い透明性のある皮膜で車のボディを保護してくれます。硬化するまでに24時間から最大48時間程度かかるものもあります。性能が良い分、誰もが扱える液剤ではないので施工する人も熟練の技を持ったプロが行うので、施工費用も高額です。

ちなみにガラスコーティングの持続期間は平均でも3年とされ、強固な皮膜に覆われているためボディに汚れは勿論、キズもつきにくいという特徴があります。汚れが面白いほど落ちるので洗車も簡単です。

ガラス系コーティングとガラスコーティングの違い

実はこれらには明確な境界線がありません。業界で統一された規格がないのです。

なのでガラスコーティングを謳っていても、実際に成分を見るとガラス系コーティングである場合はあります。ガラスコーティングとして市販されているものは、ほぼ100%ガラス系コーティングでしょう。

一般的に両者の明確な違いは成分として「有機物が含まれているかどうか」という点が挙げられます。有機物を含むものが『ガラス系コーティング』、完全無機質のガラス皮膜を形成するコーティングを『ガラスコーティング』という区別で理解していただくと良いでしょう。

このように特徴の違いと性質の違いを理解して知識として持っておけば、コーティングを施工業者に依頼するときも自分でその品質を確かめることができるので、ぜひ、今回解説した知識を覚えていただければと思います。

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ワックスの種類

続いてはワックスの種類について解説します。

①固形タイプ

愛車のツヤにこだわりたい方におすすめなのがこのタイプのワックスです。固形タイプは他のワックスと比べると、洗浄効果は全くありません。そのため施行する前にはしっかり洗車し、完全に汚れが落ちた状態からでないと汚れごとコーティングしてしまうことになります。

このタイプは値は張りますがその分、仕上がりは他よりも俄然優れていますので、洗車など手入れに慣れた方ほどオススメです。

②半練りタイプ

ツヤや撥水性では固形タイプに劣りますが、その代わり扱いの難しい固形タイプよりも作業のしやすさが目立ちます。研磨剤を含んでいるタイプや汚れを落とす成分が含まれているものなど、バリエーション豊かで機能性とい面でも半練りタイプは勝っています。

③スプレー式液体タイプ

他の2つよりも多くの人に人気のあるタイプです。ツヤと撥水性の面では固形タイプと半練りタイプよりもさらにランクは落ちますが、多少の汚れなら液体を吹きつけてふき取るだけで簡単です。ツヤは撥水効果も他には劣るもののありますから、特に愛車の手入れをしたくても仕事で忙しいなど時間の取れない人にオススメなのはやはりこのタイプでしょう。

ワックスを塗るときの注意点と施工ステップ

ワックスを塗る前にまずしなければいけないこと、それは洗車です。

ワックスはコーティングでの一種ですから汚れが残ったままだと汚れと一緒にコーティングしてしまうことになります。ですからワックス掛けの前の洗車は必須です。

必要なものは

  • バケツ
  • カーシャンプー
  • 洗車用のマイクロファイバー
  • 拭き取り用のマイクロファイバー

これらは必ず用意しましょう。

また、ブラシを数種類用意すると洗車の幅が広がります。

例えば、タイヤ周辺の手入れのためにブラシは大小・長短と数種類のものを、細かい部分の汚れを落とすためにも使い古した歯ブラシなどを用意しましょう。特にナンバープレートや窓枠などの細かい部分で役に立ちます。

服装は汚れても良い服か、エプロンを着用するといいです。腕時計や指輪などは車を傷つける危険性があるため外しておきましょう。

洗車が終わったらいよいよワックス掛けです。

ワックスを塗り始める前に大切なのは道具が揃っているか、そして天候は適しているかを確認しましょう。

ワックスを塗る日は実は晴れの日よりも曇りの日の方がオススメです。というのも、晴れの日だとボンネットが熱を持ち、作業中にワックスがすぐ乾いてしまうからです。屋外での作業の際はできるだけ日陰を選び、風の強い日や直射日光を避けましょう。

用意するのはワックスにスポンジを数種類、ワックスをふき取るための布に細かな部分の拭き取りに役立つ竹串も用意しておくことで綺麗な仕上がりになります。

拭き取りようの布も数種類用意できると仕上がりに差が出てきます。ワックスを大まかに拭き取るためのネル地の布、ムラ無く拭き取るためのネル地よりも繊維の細かい極細布、鏡のようなツヤ感を出すために使用するクロス布の三種が好ましいです。

STEP1:スポンジにワックスを馴染ませる

ムラ無くワックスを塗るためにはスポンジにワックスをつけすぎないのがポイントです。一度水で湿らせた後、ワックス缶の中で軽く押しつけながら一回転させることで、均等にワックスの成分をスポンジに馴染ませることができます。

STEP2:一定方向にムラ無く塗っていく

ボンネットなどの空に対して平行な部分は、縦方向にワックスを塗っていきます。スポンジは往復させず、必ず一定方向へ。円を描くように塗ると均一に塗れず、同じところを何度も塗ってしまうと車の塗装部分がキズつきやすくなりますので、一定方向を心がけてください。

塗り終わったらその上から重ねるように横方向へワックスを塗っていきます。ドアなどの垂直な部分は上から下へと一定方向に塗っていきましょう。

注意すべきは厚塗りです。何度も塗った方がいいように思うかもしれませんが、それはムラの原因になりかねません。

またガラス部分にはスポンジが触れないように注意しましょう。

STEP3:拭き取りようの布は使い分けよう

ワックスを塗り終われば、いよいよ拭き取りです。

最初はネル地の布で大まかに素早く、次は極細布に変えてから全体を優しくなでるように拭き残した部分を除去します。それも終われば風のない屋外で一時間ほど車を放置しましょう。そうすることでワックスを硬化させます。そしたら最後は超極細繊維のクロス布で撫でるように吹いてやれば完了です。

エンブレムなどにワックスが詰まった場合は竹串に布を巻き付けて掻きだしてやれば綺麗にふきとることが可能です。

以上のことをうまくこなせばムラのないツヤのあるピカピカな仕上がり似なります。頑張ってください。

4. まとめ

ワックス

コーティング

持続期間

短い

長い

価格

安い

高い

手入れ

手間が掛かる

簡単

ツヤ

自然な光沢

人工的な光沢

衝撃

弱い

強い

こうして見るとコーティングの方がメリットが多く、そのことを考慮すると価格も相応なものではないかと思えます。

仕上がり重視の方はコーティングに不満を感じるかもしれませんが、少なくともそれ以外の方がコーティングにして損をすることは無いのではないでしょうか。

私としても多くの方にコーティングを強く勧めたいと思っています。

どちらかで悩んだ際には是非、この記事を参考にしてみてください。

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